レスベラトロール6/12放送のNHKスペシャルで「あなたの寿命は延ばせる!発見長寿遺伝子」 という放送があったようで、 そこで紹介されていた”レスベラトロール”のご質問を頂きました。 ”レスベラトロール(resveratrol)”は 赤ワインやぶどうの皮などに多く含まれるポリフェノールの一種。 老化防止の長寿遺伝子として注目されている 《サーチュイン遺伝子》のスイッチをオンすることで話題になっています。 ★フレンチパラドックスのキー成分! 赤ワインが身体にいいことは、 多くの人が知っていますね。 ヨーロッパ各国の中でフランス人が、 比較的脂肪分の多い食事(チーズ、バターを使ったフランス料理など) を食べるにもかかわらず 冠動脈疾患での死亡率が非常に低く、 これが”フレンチパラドックス”と言われているものです。 また、フランス人はワインの消費量が世界一。、 鍵を握る成分として、 ワインポリフェノールの1成分である ”レスベラトロール”が注目されているのです。 ★寿命延長などアンチエイジング効果 1997年:「サイエンス」誌で抗がん作用が報告されて以降、 抗がん作用や認知症を防ぐ働きで多くの研究が進められた。 2003年:英科学雑誌「Nature」で酵母細胞のアンチエイジング(延命作用)を発表。 2006年:英科学雑誌「Nature」で、Dr. Sinclair(Harvard Medical School)らが 初めて哺乳類(マウス)でのアンチエイジング(延命作用)の研究発表し、 一躍注目を集めた。 このマウスの延命の実験の内容は、 最初は通常のエサで飼育し、 ヒトで中年にあたる約52週齢で3群に分けてエサを与えた。 (1)通常のエサ群、 (2)カロリーの60%が脂肪の高カロリーのエサ群 (3)高カロリーのエサにレスベラトロールを添加したエサ群 その結果、114週で(1)(3)では死亡率42%に対し、(2)の死亡率は58%。 レスベラトロールにより、高カロリーのエサを食べていても、 死亡のリスクが改善したのです! 美味しいものをたくさん食べて楽しんだのに, その代償はほとんどなかった,という訳です。 さらに寿命だけでなく、運動能力の改善もみられたというもの。 ★サーチュイン遺伝子の活性化 サーチュインは、「抗老化遺伝子」とも呼ばれているもので、 通常、飢餓やカロリー制限によって活性化するもの。 (カロリー制限している人の方が長寿) サーチュインが活性化されると、 体脂肪、血圧、血糖値、中性脂肪値などが改善されていき、 寿命が延びることが確認されている。 最近、レスベラトロールがサーチュイン遺伝子(SIRT1遺伝子)を 活性化することがわかったのです。 ★レスベラトロールの働き マウスなどの実験動物を用いた研究では、 抗酸化作用、寿命延長(老化防止)、抗炎症、抗癌、認知症予防、 悪玉コレステロールの増加抑制、血糖降下などが報告されています。 また、放射線障害を防ぐ働きがある、との研究結果が発表されている。 (ピッツバーグ大学の腫瘍学者Joel Greenberger氏の研究 2008年9月米国放射線腫瘍学会の年次会議で報告) そんな気になる”レスベラトロール”ですが、 海外ではメジャーなサプリメントですが、 日本ではまだまだ販売メーカーは多くありません。 (2011.06.17) Q1、レスベラトロールって何?食べ物では何に含まれる? →A1、レスベラトロールは,抗酸化作用で注目されるポリフェノールの一種で、 ブドウの果皮部・新芽や赤ワイン、ピーナッツの薄皮などに多く含まれています。 植物が紫外線、病害などの外部ストレスにさらされた際に、 自分自身を守るだめに出す生体防御物質なのです。 レスベラトロールはブドウの皮に多いので、 製造工程でブドウの果皮部を多く使う赤ワインの方が、 白ワインよりも多くのレスベラトロールを含んでいます。 ちなみにブドウの皮には、 目に良いとされる”アントシアニン”という ポリフェノールが多いことでも有名です。優秀ですねブドウの皮☆ Q2、レスベラトロールは売ってるの? →A2、レスベラトロールは栄養補助食品(サプリメント)として 入手することが可能です。 実は「虎杖根(コジュウコン)」(タデ科のイタドリの根茎) という漢方成分にも含まれているのです。 日本ではこのイタドリの根茎を使ったものは「医薬品」に該当するために、 サプリメントとして販売することはできません。 そのため日本製のレスベラトロールは、 メーカーにより原料成分は様々で、 ブドウ、メリンジョの実、サンタベリーなどが使われています。 規制のない海外では、 多くの商品が安価で手に入るイタドリを使用しています。 2週間前にレスベラトロールについて書いた時は、 日本製のサプリメントはそれほど多くなかったのですが、 「あれ?新商品が出てる!」 「こっちもだ~」なんて具合に、 新商品が続々と登場してきています。 これからもっともっと増えそうですね。 ということで、 商品の紹介はもうしてからにしたいと思います。。。 Q3、レスベラトロールは人間にも効果があるの? →A3、レスベラトロールを人間(ヒト)に投与した研究報告は ほとんどありません。 今注目されているデータは、ほとんど基礎実験や動物実験のもの。 それなのにこんなに注目されているって何だかスゴイですね。 とはいえ、海外などでは広く使われていますので、 効果を期待して、もうみんな摂りはじめている といったところでしょうか。 でもちょっと待って下さい。 レスベラトロールにはとてもいろいろな働きがあります。 一番注目されているのは、 ”寿命を延ばすことができる”こと。 もともと摂取カロリーを70%にすれば、 長寿遺伝子のサーチュインを活性化して、 寿命を40%延ばすことが言われています。 (腹八分目ならぬ”腹七分目”が大切なんですね!) レスベラトロールはカロリーを70%に抑えなくても、 サーチュインを活性化して、寿命を延ばすことができるんです。 でも、このデータはまだマウスのデータなのです。 人間(ヒト)でどの程度の摂取量が必要かは、まだわからないのです。 これからの研究に期待したいですね。 そしてこの働きに似た働きのあるサプリメント成分としては、 ウコンなどに含まれるクルクミン、 プロアントシアニジンなどを含むリンゴポリフェノールなどが言われています。 Q4、レスベラトロールに副作用はあるの? →A4、まだヒトでのデータが少ないため、しっかりとした報告はありませんが、 下記のことが言われています。 (参考:独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」より) ・エストロゲン様作用があるため、乳がん、子宮がん、卵巣がん、 子宮内膜症、子宮筋腫などホルモン感受性疾患がある患者は禁忌とされています 。 (澤登雅一先生は「サプリメントで摂る量程度であれば、 それほど気にする必要はないのではないか」とコメント) ・抗血小板作用があるため、外科手術患者は 少なくとも手術日の2週間以内の摂取はしないこと。 (2011.07.01) ◆ アレルギー予防に効果?赤ワインの成分 ----------------------------------------------- 「レスベラトロール」ってご存知でしょうか? 赤ワインなどに豊富に含まれるポリフェノールの一種ですが、 2011年6月に、NHKスペシャル 「あなたの寿命は延ばせる!発見長寿遺伝子」 に登場してから、 とても話題になった成分です。 当時、扱っているメーカーは少なかったのですが、 今は大手さんも扱うようになりましたね。 さて、その「レスベラトロール」に、 食べ物で発症するアレルギーを抑える効果があることを、 山梨大大学院の中尾篤人教授(免疫学)らのチームが マウスを使った実験で突き止め、 4日付の米オンライン科学誌「プロスワン」に発表しました。 卵や小麦、牛乳などで体の免疫機構が過敏に反応し、 ショック症状を起こす”食物アレルギー”は近年増加。 重症化すると死亡することもあるものです。 研究は、大学院付属ワイン科学研究センターの 奥田徹教授らと共同で進めたもの。 実験では、 餌に0・01%のレスベラトロールを 混ぜたマウスと、混ぜなかったマウスを比較。 約1カ月後に卵アレルギーを発症するよう 人工的に操作すると、 レスベラトロールを取ったマウスは、 卵を異物と認識する特定の抗体の生産が抑えられ、 ショック症状も出ないことが分かった。 今まで、有効な予防法はなかったのですが、 中尾教授は 「この成分は既にサプリメントとして製品化されており、 予防ができればメリットは大きい」 とコメントしているとか。 (2012.9.5 産経ニュース) これからのデータにも注目したいですね。 (2012.9.14) |